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春季講座のご報告 [教室]

記事掲載がかなり遅くなりました m(_ _)m
春季講座へのたくさんのご参加、誠にありがとうございました!
今回は初めて参加してくださる人が多かったので、
丁寧に、基本の(しかし欠かせない)課題を多く用意しました。

作文講座では、描写課題を中心にしました。
文章の核となるのは場面。それを構成しているのは、人・時・場所。
さっさと先に進めず、人・時・場所を丁寧に描いていくことを心がけてもらいました。
「何かを文中に出したら、それについて語る文を必ず2・3文つけること!」
を合言葉に、色・形・におい・音・声・手触り・光・影・風・・・を入れました。
いつもは一文で終えてしまうことを、3行4行と描くのはそれほど簡単ではありません。
風景や人がよく描けているところをほめながら
(どんな効果が出るのかを伝えながら)
書き進めてもらいました。

読解・意見文講座では、
・立場を変えて見る(視座を変える)
・定義づける
・なぜ、と問う
ことを働きかけました。
感想を書くのではない、
「~とわかりました」「~していきたいです」とくくらない、
そうではなくて、人はなぜそうであるのか、という
人の生きざまにぐぐっと寄って考えることを促しました。
「そんなこと考えたこともなかった」と目を丸くして聴き入っている人たちに
あらすじは一切書かないこと、
自分の気付きをもっと発展させて新たな気付きにたどり着くつもりで書くこと、
上記2点を確認して作文に挑んでもらいました。

素晴らしい、と感じたのは、
今回の参加者、誰一人として私の言葉から気をそらしませんでした。
初めての人も、元在籍生も皆、
なにがポイントなのか、どう描くのがよりよい表現につながるのか、
私の顔を注視したまま、ずっと頭を働かせてくれていました。

小さな部屋で6人くらいでやっていたときでさえ、
ぼーっとしたり、手元のペンや消しゴムで遊んだりする人はいたのに、
大きな部屋で、知らない顔が10名ほどそろっている中で、
よくもまぁ、ここまで聞いてくれるものだと嬉しくなりました。
それでつい、熱が入ってしまって、
実施した課題の導入ではやらないようなことまでやってみたり
オマケでたくさんの工夫を紹介したりと
盛りだくさんの講義となりました。

文章においても、今までとは違う意識で取り組んでくれました。
作文は量よりスピードより質です。
どんな意識でどんな工夫をしたかが重要です。
私の講座でとびきりよいものを仕上げてくれれば、
保護者の方も満足するし、私への評価も上がるので
よくないところは消して書き直させ、
書けない人には「このとおり書きなさい」とすればいいのでしょうけど
そんなことをしたって、「その場限り」のものにしかなりません。

講座後に、私の紹介した工夫を生かしてみようと思ってもらえるような時間にしたいのです。
ですから、量ではなく、その人が「わざと」やってみた工夫を見つけて
声をかけ、その工夫が何につながるかを伝え、
「またやってみよう」の気持ちを強くしてもらうように働きかけました。

講座後にいただいたメールの中に、作文の受け取り方について
「親も修行ですね」とお書きいただいたものがあります。
本当に、まさしく、そうなのです。
まちがいばかり、できていないところばかり、指摘されやすい環境の中ですと
子ども自身も、まちがいさがしがうまくなります。
他の人の作文も読んでごらん、と交換させる時がありますが
残念ながら子どもたち、
「この字、まちがってる」
「ここ、字がぬけてる」
と、あらさがしするつもりはないのに、
最初に「まちがいの指摘」をしてしまいます。
よいところは最初には出ません。

書き手を伸ばしたければ、「よい読み手」がいることが欠かせません。
15年もそれを続けていますと(前の職場からだともう20年以上ですが)、
「あ、この展開はなかなかできないものだ」とか
「ここのこの言葉は、相当意識しないと生まれないものだ」というものがわかります。
優れた部分を見つけ、その意味を書き手にしっかりフィードバックすることが
作文指導の一番の核だと私は思っています。
作文指導者のすることは、間違いを直させることではなく、
「とにかく速くたくさんうまく書かせる」指導技術を磨くことでもありません。
速くたくさんうまく、を狙っていると、
結局はありきたりで無難な言葉や考え方を強化していくことになります。
いざその子が就職、といったときにはもう、
平凡なアピールしかできない状態になっているのでは、と思います。

せっかくお会いする機会を得たのです。
ご参加のときだけ、よいものを書いてもらうことをねらいたくありません。
もちろん、良いものが書けてお家の人にほめられれば、自信になります。
だから、そうであるといいなとは思いますが、
見た目は良くなさそうでも、そこに挑戦があれば、評価すべきと私は思います。

ご参加の人には、種まきをしました。
その種と芽を、育てさせていただきたいと思っています。
「また来てね」と皆に声をかけましたが、
今年ほど、本気でまた会いたいと思った年はなかったように思います。

この芽を、育てさせてください。
どの人も、まだまだ伸びる力を持っていました。
育てさせてもらいたいのです。
次回のご参加を、心よりお待ちしております。


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