心をはぐくむ作文? [作文のチカラ]
作文を書く効果は、「分かりやすい文章を書くことができる」 「論理展開がうまくなる」
「ものの見方を増やせる」 「思考力がつく」など、さまざまあるけれども
それだけではない、と思うときがある。
ときどき、嬉しくなる言葉をいただく。
「作文教室に通ってから、息子の笑顔が増えました」
「娘が私にいたわりの言葉や励ましの言葉をかけてくれました。
教室に通う前は険悪で、あまり口をきかなかったのに」
特別なことは何もしていない。
ただ、彼らが書いた文章を読み、私の心に触れた表現を伝えて、それと共に新たな変化を認めて、
次に書く文章を心待ちにしただけだ。
自己評価が低めの人は、間違うことをとても恐れる。
何か伝えようとすると、こちらが口を開く前に
「あ、かんちがいした」「ちがう、ちょっと思い出せんかっただけなんやて」と自分を守ろうとする。
作文を書く前も、書いている間も、しょっちゅう「これでいい?」「~って書いてもいい?」と尋ねてくる。
どれだけ字が間違っていようとも、
どれだけ話が混乱していようとも
とにかく、その人が伝えたかったことを、読む。
きらっと光る表現をすくい上げる。
そして、間違いを指摘するために話をするのではなく、
書いたもののよさを伝えるために、書いたあなたのよさを伝えるために、
今、話をしているんだよと、何度も態度で示す。
間違いがこわい、と思っている人から、その思いを抜き去ることは難しい。
しかし、1年、2年と付き合っていくうちに
硬さがほぐれて、書くことを恐れなくなる。
自分に自信を持っていくようになる。
もちろん、他教科ではまだ「うまくいかない」という気持ちを持っているかもしれない。
しかし、作文では×はつかない。
それが自己評価を高めるカギとなってくれるようだ。
もちろん、すべての人が同じようになるとは言わない。 私は魔法使いではない。
冒頭の言葉は、たまたま働きかけがうまくいった人、ともいえる。
しかし、「文章を書く・読まれる」ということは、大きな変化をもたらすものであるには違いない。
簡単なことだ。
片手間に読むのではなく、しっかりと文章に向き合うようにして読む。
最初の一言は、書かれた内容について、感じたことを口にする。 ほめるつもりで。
そして、心からの興味を持って相手の話を聞く。
五感を用いた表現を相手に求めるのではなく、自分自身が行う。 うまくいけば、相手もついてくる。
そして、間違いが10あったら、指摘するのはそのうちの1つか2つくらいにする。
言わない日もあったほうがいいかもしれない。
彼らが書く作文は、語彙も豊富な本好きの人が書く作文に比べると
幼く頼りないかもしれない。
しかし、書くことは本人の力になるのだ。
見比べてどう、ではない。
書くことは生きる力になるときもある。 私はそう思っている。
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