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作文の型 [課題―意見文]

3学期は「手堅く整える」作文に取り組む機会を作っています。
1・2学期は「豊かに語ること」に重きを置いて取り組みました。
多少の論点のずれなど気にせず、考えを深めてとにかく語れ、と働きかけてきました。
とはいえ、多くの読者に自分の思いを伝えるには、「わかりやすさ」も無視できません。
考えを整理するための手段、確実に思いを読み手に届けるための手段として、『作文の型』を紹介しました。


作文の型を使えば、言いたいことが明快になりますし、「作文らしく」見えます。
ですから、最初からそれを用いて作文を書かせれば簡単かもしれません。
しかし、私がそれをしないのは、型を用いると、型を手助けとして自分の考えを整理するのではなく、型に入るような考えだけを子ども達が選んでしまうのでは、と危惧するからです。

実際に教室の子に型を紹介すると、型に当てはめる部分しか考えず、おかずが一切なくなる人がいます。自分が何を考えているのか、深く問いかけることもしないで、「答え」を作ろうとしてしまいます。
あるいは、型を目の前にして途方に暮れ、「書きたいことがない」と言い始める人もいます。語るべき体験も疑問も、型に当てはめようとすると色あせて見えるからでしょうか、普段個性的なものの見方をする人も、通り一遍の無機質な考えしか出てこなくなるようです。

もちろん、型が助けてくれることは多くあります。
人によっては、型があるからこそ、考えを整理し伝えやすくなることもあるでしょう。

しかし難しさは、型に当てはめることより、当てはめる前の「何を語るか」のアイディア出しの方にあります。
日常生活の中から、語るべきことを見つける目。
疑問を持つ心。
思いを巡らし、考えを深めていく思索的な頭の働き。
これを発信したい、という強い思い。

これらを「型」が刺激することは、なかなかありません。
刺激するのは、人と人との交わりです。
話し手がいて、聞き手がいて、攻撃しあうのではなく、ことばの交換により考えを深めあう。
そういう場が、語ろうとする姿勢を育むのでは、と思っています。

ですから、最初から「型」を教えて当てはめることを私は好みません。
1・2学期の長い時間をかけて、豊かに語る力をまず刺激したい、と思っています。


型は道具。道具はうまく使うもので、道具に振り回されてはなりません。
それを伝えながら、道具である「型」の扱い方を知る機会を、3学期に設けています。

 

「型」を紹介した本に、気に入っているものがあります。
誰でも厚く論を展開していけるよう、わかりやすく説明・指導されています。このわかりやすさは素晴らしい、こういう人が紹介している「型」なら使ってまちがいなし、と思うものです。
私が持っている本は少し前のものなので、もっとわかりやすい新刊が出ているかもしれませんが、ご紹介しておきます。ご興味をお持ちでしたら一度ご覧ください。

 

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樋口裕一のカンペキ作文塾―ニュースで「読む」「書く」「考える」

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  • 作者: 樋口 裕一
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