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うらしま [課題―読解]

うらしまたろうを読み解いていると、やはり「玉手箱」が問題になってくる。

玉手箱に入っているのは「時」。
竜王の子として竜宮に住むのであれば、太郎は時と無縁に生きることができたが
地上に戻り人として暮らすのならば、時の中で生きるしかない。

乙姫は玉手箱に太郎の「時」を封じ込めて渡す。
「あけてはいけない」という呪文とともに。
どんな思いで渡したのか。
なぜまじないをかけたのか。言えばよけいに気になってしまうのに。
そこを中心に述べる人が多かった。

あとは、なぜ竜宮から地上に戻ったか、という点。
なに不自由ない生活を捨てて、苦しい現実に戻ったのはなぜか。
「不足がない」ことが生きるのに足りないから、という視点があった。
「自分が誰かに必要とされているという実感」を理由に挙げた人も。

「どう生きるか」、それを語る読解が多かった。



ところで、「うらしまたろう」を読み解いていて、こんな「もしも」があった。

主人公が「浦島太郎」ではなく、「浦島花子」で、
竜宮には「乙彦」さんという、それはそれはかっこよくてやさしい男の人がいたとしたら
花子さんは地上に帰るだろうか、という「もしも」だ。

中学生女子は口をそろえて「帰らない」と言った(後で撤回した人もいるけど)。

男子は「花子だったら帰らないかもしれないけど、
太郎だったら、あんまりよくしてもらいすぎると、なんかあやしいから帰る」と言った。


こんな違いがおもしろい。

それならこんな「もしも」もある。
乙彦なら、玉手箱を渡すだろうか?
乙姫とは違って乙彦なら、玉手箱を渡すような手間はかけないかもしれない・・・?


話の構造をかえて考えてみると、
これまでになかった視点に気付くことがある。

「違い」は扉だ。
なぜ違うのか、何が違いを生むのか、考えていくと「人」が見えてくる。

答えを出すのではない。
わかることだけを書くのではない。
わかろうとして、考えの道筋を刻みながら、書く。
それが教室での「書く」ということ。


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