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夏期講座 雑感 [教室]

毎年、講座を10コマ近く取ってくださる方がいます。
今年も、数名。
たいていは、短期講座に長く参加くださっている方や在籍生(またはその兄弟)です。

昨年までは、「初級」「中級」というように
課題内容ではなく、年齢や苦手意識に合わせて取ってもらえるよう、コースを設けていました。

講座を多く取る人たちには、できるだけ違ったタイプの課題を体験してほしい。
そう思って、描写・視点・想像・意見・読解、課題のねらいが重ならないよう、
バランスよく準備していました。

しかし、今年は「作文講座」と「読解・意見文講座」の2本立てです。
ですから、どちらか一方だけを集中的に取る、という人も出てきました。

さて、どうだろう、子どもたちは飽きてしまうだろうか?
少し心配したときもありましたが、それはバカげた考えだと思い直しました。

書くことは毎回違って当然だし、
もっと深い考察を、もっと幅広い表現を、と求めていくことや、
その人が前回よりももっと質の高い文章に挑みたくなる場を作っていくことが
私のすべきことなんだから、
そう思って、とにかく毎回の授業を充実させることを心がけました。

一人、小4の女の子が10コマ取りました。
自分の周囲で起きたことを、生き生きと描き出す力を持った人です。
3コマめあたりで、なんだかいつもとちがって、やたらと先生に会わないといけないなぁ、
という顔をしましたが
後半に入ると、ぴりりと背筋を伸ばし、
「語るのだ!」という意識で取り組んでいるのが文章に現れていました。

語り続けることは、決してやさしいことではありません。
書く機会が多ければ多いほど、「同じ」ことを「同じ」ように書けなくなります。
ですから、無理やりにでも自分の奥から言葉や考えを、引っ張り出してこなければなりません。

よく挑んだ、と思います。
大人なら、とっくの昔に逃げ出しています。
語り続けた彼女には敬意を表さずにはいられません。
もちろん、講座に参加してくれたほかの子どもたちも素晴らしい挑戦をしてくれました。
「難しい」と言うことなく、言葉を生み出したその姿勢! 
ぜひぜひ、自分に誇りを感じてもらいたいと思っています。

そうそう、7コマ取った小6女子、この人にも特筆すべきことがあります。
この人は、概念語を多く使う傾向があって、
言いたいことをぼんやりとした形にしやすかったのですが
読解・意見文最終日。おっ、と思う表現が飛び出しました。
その絞めの部分の効果で、論がぐっと引き締まった文章になりました。
あぁ、よく跳んだ、と嬉しくなりました。



書道でも、ピアノでも、スポーツでも、数年取り組まねば、ものにはなりません。
書くことも同じ。
毎日言葉を使っているから、「すぐに」「大きな」成果が出るように思いやすいのですが
そういうものではありません。

今の子どもたちには、深く物事を追う機会は多くありません。
なぜ? を考える前に答えが、
どうすれば? と試行錯誤する前に道具が、
なにもかもそろいすぎているのが、今の社会です。

そういう時代だからこそ、考えを深める力を育てにくい社会だからこそ、
意識して「質高く書く」ことに取り組んでほしいと思っています。

夏期講座もあとわずか。
感想文講座は「先生に書かせてもらう」のではなく、「自分が書きに」来てくださいね。


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