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くじ引き作文 [課題―生活文]

教室ではよく「くじ引き作文」をします。
言葉を書いた紙を箱に入れ、それぞれがひきます。
ひいた紙に書いてあった言葉が、その日の作文のテーマになります。

先週もそのくじ引き作文を行いました。
2学期最初の授業だったので、夏休みのことを書いてもらうことにしたのですが
なんのしばりもないと、「どこかに出かけた日のこと」を書こうとし、
さらに、「その日したこと」を並べてしまい、
あれあれっ、これは教室でいうところの「スケジュール作文」
もしくは「新幹線作文」ではないか! ということになります。

「スケジュール作文」はその名の通り、スケジュールを書きならべるもの。
「新幹線作文」は、はじめと真ん中と終わりしかない作文。
(この書き方だと、1日をたった3行で書けます。)

そこで、先週は「**の夏」というテーマでくじ引き作文を行いました。
**は、動きのある言葉。動詞です。
たとえば、「駆け回る」「押しつぶす」「揺れる」「掘り起こす」など。
単に「食べる」「書く」ではなく、もう少し表情をつけて、
「食べつくす」「書きなぐる」などの言葉にしてもらいました。

これらの言葉をそれぞれに書いてもらい、箱に入れます。
そして、引く。

「うわぁ、自分のが出たらどうしよう」
「ウチのでたら、やばいよ」
「ヘンなの入れちゃった」

それはそれは嬉しそうに騒ぎます。
何度やっても、毎回です。みんな、好きなんですねぇ。


今回はさらに、授業の最後に読み上げてもらうよ、と宣言して始めました。
ぎゃあぎゃあ言いますが、お構いなしに進めます。
言葉は人に伝えてはじめて、言葉になるのです。
自分だけで終わる言葉を書いていてはいけません。

それになにより、「皆の前で読む」ことを意識して書くと、文章の背筋が伸びます。
聞き手をうならせてやろう、という作意が働くのです。


熱田教室の作文講座でやったときは、
「まわる夏」をテーマに書いた子が、
遊園地のコーヒーカップなどに乗って「回る感覚」を生き生きと描いたあと、
ついでにおなかもかきまわされたらしく、トイレに直行!するシーンで締めたので
皆が大爆笑!!
書き手は「してやったり!」の笑顔でした。

もう一人、「ゆれる夏」がテーマになった子は、
船に乗ってゆれている様子を描いているうちに文章のリズムも揺れ始めて、
書き上げた作文が、まるで詩か歌のようになっていました。
これもなかなか面白く、好評でした。

岐阜本部教室では、
「さけんだ夏」をテーマにした子が、悪夢に心で叫んだことを書いているうちに、
悪い夢とはなんぞや?を分析し始め、皆をうならせました。

「はねかえる夏」がテーマになった子、
「はねかえる」という語のイメージをうまく料理していました。

風鈴をおねだりしたら、「使う期間は夏だけなんだから」と言われてしまい、
自分のおねだりがはねかえされた、としました。
そして、半月後、売り場で風鈴が別の商品に変えられているのを見て
「風鈴の音はおわり、せみや蚊のうるさ~い音にはねかえったんだなあ」と書きました。

この人の締めの一文がおもしろい。
「家に帰って、虫のうるさい声に『おかえり!』と元気な声で、
夏という一年間の一部分だけにいる虫に言った。」

前半のお母さんの言葉がきれいな伏線となっています。
初めからそう決めて書いたのではないと思います。
私が「どんなシーンで終えるか、工夫してよ!!」と言ったのを受けて、
おぉ、そうだ、とひらめいたのでしょう。

文章にこういう「仕組み」を作ることができるというのは
全体を見通す力をつけてきたということ。
大人のような仕組み方に、皆が「ヤラレタ」という顔をしました。

ここに紹介できなかった人の作文にも、み~んな、
なにやらこれまでにない味わいを感じました。
夏休みに長い文章に取り組んだせいでしょうか?
2学期はどんな作品が生まれるか、ますます楽しみになってきました。


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