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『りすのしっぽ』 [課題―創作文]

先週ご紹介した『動物昔話』。
本人の許可をもらいましたので、彼女が小3のときに書いた「おはなし」を披露します。
余談ですが、この作品をある新聞社の童話コーナーに応募したところ、
見事佳作をとりました。

 

 『リスのしっぽ』

昔のリスのしっぽは、まっすぐ上にのびていました。


ある日、リスはかたつむりのからを見つけました。
そのからは、ピカピカひかってて、リスのしっぽにちょうどよさそうな物だったので目にとまりました。
それでリスは、そのからをさわったり、においをかいだり、中を見たりしました。
リスは、そのからにしっぽを入れてみたくなりました。
もし、しっぽが入ったら、ほかのリスとちがうしっぽになるなぁ、と思いました。

それでリスは、思い切ってしっぽをかたつむりのからの中に入れてみることにしました。
リスは目をつぶって
「えいっ!」
と、からの中にしっぽを入れました。
それから、そ~っと目を開けました。
すると、しっぽがぴったりとはまっていました。
リスは、それを見て、うれしくておどりながら家に帰っていきました。

次の日も、ピカピカひかったからは、ついていました。
リスは、からをひきずりながら森を歩きました。
そこで、リスはからがあると、走ったり、木から木へとびうつったり、できないことに気がつきました。
それで、リスは、からをとりたいと思いました。
でも、リスには、友だちがいません。
だから、からをひっぱって、とってもらうことはできません。

そのまま、三か月ぐらいたちました。
リスは、いつものように森を歩いていたら、しっぽのほうから、ピリピリピリッと音がしました。
しっぽを見ると、からが少しわれていました。
リスがそのまま見ていると、どんどんひびが大きくなってきました。
そして、とうとうからが、パリンッとわれてしまいました。
リスは、びっくりしてころがってしまいました。

リスのしっぽはなんと!うずまきの形になっていました。
それでリスは、しっぽをのばそうとして、手でひっぱったけど、手をはなすと、もとのうずまきの形にもどってしまいました。
リスは、はじめのころは、みんなとしっぽの形がちがうからふあんだったけど、なれてくると、このしっぽもいいかなぁ、と思ってきました。

それから、リスのしっぽはうずまきの形になりました。

  
                                                 ・・・おしまい。

 

りすの動きをしっかりと描写しているところがいいですね。
そう簡単にはここまで書けません。
しかし、ついつい読解がしたくなる箇所がいくつかあります。 
このお話をもとに意見文だって書けそうです。

 

さて、教室の夏期講座についてお知らせです。
初級クラスは全クラス定員に達しました。
小学2~6年生対象の混合クラスの方は、まだ空きがあります。
今後受講をお考えの方は、混合クラスをご検討ください。
低学年が主体となりそうですから、無理なく受講していただけると思います。

また、こちらが設定した日時ではご都合が悪い方も
一度お問合せいただけますと幸いです。
ご希望が多ければ、クラスを増設することも考えています。
お気軽にお問合せください。

皆様のご参加をお待ちしております。

教室のHPはこちらからどうぞ・・・ 『ことばの泉 作文教室』

 


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動物昔話 [課題―創作文]

生徒達のこれまでの作文を読み返していたら、懐かしい作品が出てきた。
当時小3、現在中3の女の子が書いたお語。 
動物の体が今のようになったわけを、昔話仕立てで書く課題だ。


しかし、『きりんの首が長くなったのは、高いところにある葉を食べようとして・・・』
などという、通説や科学的に正しいとされていることで書いたのでは面白くない。
何かハプニングを起こし、体が変化せざるを得ないように仕組んでいく。

彼女が選んだ動物は、リス。 リスのしっぽはなぜ丸くなってしまったかを考えた。
コピーして手元に残しておいたその本を彼女に見せると、
懐かしそうに「そうそう、このとき、リスが好きだったんだよね~」と笑った。


小3の彼女は、こう考えた。
森の中でリスは、大きなかたつむりの殻を見つける。
珍しいのでぺたぺたさわり、ひっくり返してながめていたが、
そのうち、この殻の中に自分の尻尾を入れてみたら・・・? と思いつく。
あとは想像通り。 殻から抜けなくなった尻尾をそのままにしておいたら、
そのうち尻尾は丸まって、元のようには伸びなくなってしまった。

しかし、細かな言葉遣いが面白い。
小3だからこそ思いつけるような、ぎょっとさせられる言葉があったり、
ちょっとした言い足りなさが、逆に別の何かを喚起させたり。


今なら何を書くだろうか? と中学生が再挑戦することになった。
この課題はアイデア勝負。 
何を主役にして、どの特徴を取り上げ、どうオチをつけるか。
カニが何かを切ってばかりいたら手が・・・という正攻法で行ったのでは面白くない。
はさみが「切る」のなら、逆に「結ぶ」だの「つかむ」だのを考えて
努力の結果でそうなったよりは、ちょっとした驕慢や冒険心で事件が起きてしまうようにする。
その方が、意外性があって楽しい。

 

中2男子と話していたら、こんなものが出来上がった。

主役は、タコ。 タコには昔、背骨があった。
ぴんと伸ばした背筋、知恵の詰まった大きな頭、
あまりに立派なので、彼は皆から『海の貴公子』と呼ばれる存在だった。
ところが、そのタコにはライバルがいる。 言わずと知れたイカである。
美しく白く輝く体、手はタコより若干多く、しかも三角のかっこいい帽子までかぶっている。
タコは悔しい。 どうしても、あの三角の帽子よりもすばらしいものを手に入れたい。
そこでありとあらゆるものを試す。 試すが、気に入ったものはない。

見つけたのが、海中に沈んだ壺だ。
タコの頭にフィットしそうに、ぽってりと底が丸い。
タコは喜び勇んでその壺に頭を入れる。 そうして、頭を持ち上げようとすると・・・!

ボキッ!

壺の重さで、タコの首の骨が折れてしまうのである。

それからというもの、首をたれて歩かねばならなくなったタコは、
周囲の目を気にして、誰かに会うとすぐに狭い岩の隙間に体をもぐりこませ、隠れるようになった。

タコの体が柔らかく、そして狭いところに入りたがるようになったのは、こういうわけなのである。

 

あまりのばかばかしさに、皆で声を上げて笑ったが、まぁつまりはこういうことだ。

読めば簡単だが、思いつくのはちと難しい。

ちなみに例のリスの彼女は、アメンボを主役にした。 
なぜ水の上を歩けるようになったのか、というのである。

昔のアメンボは水の中で生活していた。
そのアメンボが、未知である水の外の世界に興味を持ち、
生まれて初めて地上に這い出す。
しかし、頃は夏。 地面は熱せられ高温になっていた。
それを知らずに地に足を下ろしたアメンボ。
瞬く間に6本の足の先全てが焼けただれてしまう。(溶けてしまいそうだが)
さて、それで・・・という感じ。

やけどを負わせる、というアイデアがいい。

水だと「ぬれる」を連想するが、この人はその逆を使った。
ぽんと見方を変えられるのも、作文の力のうち。
彼女は物語を書く度に違う顔を見せてくれるが、こういう小品でも力を遺憾なく発揮してくれる。


意見文・読解作文もいいが、たまにはこういうものもいい。
辻褄を合わせるためには、相当に頭を使う。

さて、次はどう語るかだ。 
アイデアを殺さぬよう、場面と登場人物を魅力的に描かねばならない。

 


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一枚の絵から [課題―創作文]

夏休みには少し長めの物語を書き、本に仕上げている。

その前の肩慣らしとして、小学生クラスのいくつかでは創作文に取り組んだ。

絵を見て、お話か詩を書くのだ。

 

物語を作るカギとなるのが『人・もの・場所』である。

この3つが話をうねらせていく。

今回はその中の『場所(物語の舞台)』に焦点を当てて臨んだ。

 

 

まずは絵を選ぶ。 全員が同じ絵を見て書くときもあるが、今回はそれぞれ好きなものを選んだ。

選んでもすぐには書き出さない。 まずはじっくり絵を眺めてみる。

何が描かれているか。 全体を把握するとともに、細部を観察する。

当然のことだが、絵が提供してくれるのは視覚情報が主だ。

色・形・大きさ・広さ・高さ・薄さ・材質・質感・遠近・明暗・動き・・・。 

それらをじっくりと味わいながら、見えるところだけでなく、その奥にあるものまで想像し、場を捉えていく。

 

ここで彼らに伝えるのが「五感を使う」ということ。

においはあるか。 音は聞こえるか。 鳥の声、水音、こどもの声。 何が聞こえてくるだろうか。

風はどうだろう。 吹いているだろうか。 吹いているのなら、どこをどのように走り、物を揺らすのか。

光は? どのように射している? 肌を焼くほど? 形がようやくわかるくらい?

空気はどうだろう。 熱くねっとりとからみつくようなものか。 それとも冷たく切り裂くようなのか。

体で感じるさまざまな感覚を呼び起こして、場を多角的にとらえていく。

 

 

話を書くときにおろそかになりやすいのが、場と人物の設定だ。

人物が何をして、どう話が進むのか、という「あらすじ」には皆ちゃんと気を配って書いていく。

しかし、壮大な話を思いつくと、筋を追うことに一生懸命になってしまって、

『場面』を想像できない物語ができあがってしまうことがある。

これでは、読み手が物語を味わいつくせない。

 

物語の舞台を最初にきちんと読み手に伝えることは、読み手の想像力を助けることになる。

読み手は貪欲だ。 場の様子を知りたがる。 人の動きを見たがる。

その要求に応えていかねばならない。

 

詩であっても、物語であっても、

色・形・匂い・音・声・光・風・動きを伝えるものを、必ず文章の中に入れるように、と求めた。

一文だけでも、場の輝きが違ってくる。

詩を書く場合は、その絵と似たところに行ったときを思い出して、

音や動きを写実的に描くようにと、何度も働きかけた。

 

今回は物語を動かすよりも、場を豊かに描くことの方に重点を置いた。

皆それによく応えてくれて、色彩豊かな、あるいは、かすかな笛の音が紙面をすべるような、

味わい深い話と詩が生まれた。

 

いつもとは違う趣きの作品を仕上げた人もいた。

文字なのに、まるで染み入る音楽を聞いたようだった。 

 


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