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言葉のインプット [作文のチカラ]

言うまでもなく、作文はアウトプットの作業だ。
アウトプットするためには、語彙の習得(インプット)が必要。 これも言うまでもない。

ということで、今回は言葉のインプットをテーマにしたい。

言葉のインプットの中で、一番よい手段は読書だ。
語彙の習得以外にも、もっと多くのことを身に刻むことができる。
例えば
1 慣用表現・表現技法
2 文のリズム
3 書き言葉
4 新しいものの考え方・価値観
5 先読みの力
6 全体を見通す力・一貫性の理解

というように、説明されただけでは理解しにくいことを「体に刻む」ことができる。
自分で読むことが難しい、もしくは気乗りがしない様子なら
読み聞かせをするといいのになあ、と思う。
読み聞かせは幼児のものではない。 年齢はまったく関係ない。 
理解や興味に応じて本を選べばよいことだ。
いつからいつまでと限らず、読み聞かせはやってみたらいいと思う。

大きくなったのだから自分で読んでほしい、と思う気持ちは分かる。
それに、自分で読む力がなければ試験のときに困るだろう、というのも。
それでもやはり、まずは言語習得が肝心だと私は思う。


何せ、インプットした言葉が生きてくるには時間がかかる。
幼児の時の経験は幼児の時期に活用されるのではなく、小学校低学年の時に現れる。
小学校高学年の読書経験は、中学で生きる。
1,2年のブランクがあるのだ。 心の中で寝かされ発酵される時間とでもいおうか。

中学生になると心の発達に従って、新たな価値観の構築が必要となる。
その際にも、読書を通じて、誰かが考えた世界とどっぷり向き合う経験は有益だ。
一人の人間の想念とたたかうことになるのだ。 感受性豊かな頃だから得るものは大きい。
しかも、書き言葉で物事を考えるチャンスも得られる。

本の害は、読みすぎると目を悪くすることくらい(私のように)。
後は運動不足? これも「すぎれば」のこと。 
この害ならゲームと大差ない。 ゲームよりは、思索的でいい。
ゲームは反射であって思索でない。

 

さて、とはいえ本アレルギーの人もいるようだから、別の手立ても。

言語習得は耳からなされるのだから、
言葉掛けを変えるのである。

話し言葉は主語または述語が欠落しやすい。 それに句点(。)で切ることなくだらだらと続く。
指示語が多い上に、同じ表現が繰り返し用いられる。
また、「どのように」を表す言葉がないか、もしくは決まりきった表現で終えられる。

これが会話表現の特徴だ。
相手に伝えることを主眼に置いたものなのだから、こうなるのは当然ともいえる。
書き言葉同様に話をする人がいたら、聞き手は話がどこにたどり着くのか分からず不安になってしまう。 
待っていられないはずだ。
会話は、論点がすぐに見えるようなものが心地よいのだ。

だが、言語習得という観点から見た場合では少し問題がある。
耳からしか言葉を仕入れていないようなら、
聞く言葉の質を変えねばならない。

あまりうるさくならない程度に、主語を入れて話す。
「すごいねー」のあとに、どうすごいのかを表現する言葉をつける。
きちんと文を終わらせる。
多少新しい言葉に触れられるよう、言葉を選んで使う。

中学生の授業では、私は意識的に書き言葉でものを言う。 漢語を使う。 
耳で聞くと、ん?と思われそうだが、あえて使う。
耳から聞いたリズムに引きずられて、文章も変わるから面白い。
中学生の吸収力は、他の年齢とは違う底知れなさがある。
本人達は「小学生より俺らのほうが頭固くなっとるもんねー」などと言うが、そうでもない。
『こうでなければならない』という思い込みが強く出る場合もあるが
『あっそうか!』と開眼したときの吸収は小学生よりもいい。 主体的に向かうからだ。

 

意識して会話表現を豊かにしようとすると、これまで少ない語彙で話をしていたことに改めて気づかされる。
だから「主述を入れて」「文を終わらせて」「どのようにを補って」話すのは、話し手の訓練にもなる。

しかし、一つだけ注意。
働きかけには心がけてほしいけれども、お子さんの言葉を、言った傍から直すのはよしたほうがいい。
話すのを億劫がるようになってしまう。 
会話は、相手に受け入れられる安心感があるからこそ楽しいものだ。 
あなたの話は面白い、だからもっと聞かせて、という姿勢で合いの手を入れる。
言うほど容易くない。 知っているけれど、やる価値はある。

気は長くもってほしい。 読み聞かせも、言葉掛けも、効果が出るには時間がかかる。
言葉には、寝かされる時間が必要なのだ。

 


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