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生徒の作文に手を入れるとき、気をつけていること [教室]

教室では、「何を語るか」に神経を集中してもらいたいため、
「正しく」書くことに必死にならなくていい、と伝えています。
もちろん、間違えて覚えていそうなこと、
何度も繰り返しているミスなどには、注意を促す言葉かけをしますが、
「だからこの作文はダメ」とは言いません。

大切なのは「語ろうとすることと、十分に語りきること」です。


ただ、一年のこの時期だけは、きっちりと手直しをします。
コンテストに応募する作文に挑むからです。

教室で書く作文が「普段着の作文」であるとするなら
コンテスト向けの作文は「正装(盛装?)した作文」です。
言葉の間違いや漢字に直せるものなどは指摘して清書に臨んでもらいます。

心がけていることは
言葉を削るにしろ、別の言葉に置き換えるにしろ、
「なぜそうしたほうがいいのか」を伝えることです。

接続詞や助詞の選び間違い、主語と述語の不一致、一文の長さなど、
「これでよい」と思っていて、気付かないものは多くあります。
それをただ訂正するだけでは、また同じようなことをしてしまいますので
できるだけ、「なぜ」を明らかにして伝えるようにしています。

こういうものは、一度伝えただけで身になじむものではありません。
何度も根気よく伝えていきます。


それともう一つ。
私が勝手に言葉を書き加えない、ということも心がけています。

意見の中心となるところなのに言い足りていないとか、
説明不足で状況がとらえにくいとか、
そういう場合は「なぜ読み手が言い足りないと感じるか」を伝えてから
書き足してもらいます。

しかし、そこで「私がほしい言葉」を書いてもらっては
生徒の作文ではなく、「私の作文」になってしまいます。
「言い足りない何か」を子ども自身が見つけるために
何度も問いかけ、答えてもらい、ではそれを入れようと話し合います。

二人の会話のテンポを崩さないために、
子どもが口にした文を私が書きとめることはありますが
私が捏造した文を、作品に入れることはしません。

それは、私が子どもの頃、必死で書いた作文に先生が言葉をつけたし
コンクールに応募させられた思い出があるからです。

先生が付け足した言葉は、優等生なら言いそうな、先生が目標で掲げそうな
そういう言葉でした。
大人くさくていやで、そんな思いを抱いてもいないのに文に入れるのがいやで、
こんな文章は「私の作品」ではない、と思いました。


それと同じ思いを生徒達にさせたくはありません。
ですから、「読み手として、もう一言ほしい理由」を伝えて
自分の言葉で書き入れてもらうことを心がけています。



最後に清書。
文章はリズムも大切です。
自分のクセを少し正した、心地よい流れの文を写すことで
「普段の作文」のレベルアップを目指します。


教室で書くコンテスト向けの作文は、
その人が「今までの自分を超える」ものをめざしています。
入賞は二の次。
だから、審査員受けしないであろうものでも、
その人が「どうしても書きたい」と思えば、書いてもらっています。

今年も、それぞれが「今の時点の最善」を尽くした作品が仕上がりつつあります。


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