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本好きさんの感想文本の選び方 [課題―感想文]

今回は、本大好き! 書くのもけっこう自信ある! という人へのアドバイス。

まず最初に。

おもしろい本は、やめる。 

楽しむために読む本と、世界や人を読み解くために取り組む本は、違います。
げらげら笑えたり、どうなるの?とわくわくしたりする本は
とっても好きになれて、「私の大切な一冊」になるかもしれませんが
エンターテイメント性が高すぎる本は、読解には向かないのです。
楽しむ本は、思い切り楽しめば、それでよし!
「ああ、たのしかった!」と思って満足した本は、そのままにして
感想文には「えええ?どうしてこういうふうなの?」
「ああ、この部分、なにか気になる・・・」
と、心が落ち着かなくなる本の方が「考えるべき素材」を含んでいます。

「楽しさ」より心がざわめくものを。
人の気持ちなんて、一言で言い表せるものではありません。
その「言い表せない何か」に迫ってこそ、価値ある取り組みになります。
好きじゃない本でも、「なぜ?」を考えられるものを選んでみてください、
きっと、「好きじゃない」感覚が、自分にしか語れないものに近づく助けとなるはずです。

 

さて、次に。

メインの本を選んだら、もう1~2冊、サブの本にも目を通す。

感想文は1冊の本だけで書く、という決まりはありません。
本好きさんなら、何冊も読むのは平気のはず。
メインに取り組む本を深く理解するために、
ぜひ関連する他の本にも目を通してください。

アフガニスタンを舞台にした本なら、
アフガニスタンの空気や日差しや街並みをよりくっきりとイメージするために
アフガニスタンの写真集を見てみたり、
イスラム教徒の生活の様子を調べてみたりしてみてください。
文字だけではイメージしにくかったものが
写真にある色や形や人の笑顔で、「ああ、こんなかんじか」と想像を助けてくれるはずです。

それに、メインの本に書かれていなかった事実や視点にも
出合えるかもしれません。
1冊の本から得た情報では、見方に偏りが生じやすいもの。
ものを考えるということには、「多角的に見る」ことが不可欠ですから
ぜひ、本の内容に関する別の本(映画でもいいですが)にも触れてください。

他におすすめなのは、
同じ作者の別の本を読むことです。
話や舞台が違っても、同じ人が書いたものですから
なんとなく、根底にあるテーマやテイストには共通したものがあります。
それを取り出し比較検討するのもよい方法。

他には、作者自身を調べてみることもありますね。
メインの本は、作者が何歳の時に書いたもので、
そのときこの作者に何が起きていて
(たとえば身近な人の死があったとか、どこかに留学したとか)
どんな問題を抱えていて、
(病を得ていたとか、借金に苦しんでいたとか)
その後どう進んでいくことになったのか…とかを知って、
なぜこの人はこの本を書かざるを得なかったのか、と考えてみます。

「なんとなく」で書かれた本はありません(そういう本があっても、すぐに書店から消えます)。
作家は「書かずにはいられなくて」、その本を書いたのです。
作者の「どうしても書かないといけない」と感じた心の動きを量り、
その人が内に秘めたテーマを読み取り、
では自分はそれについてどう感じているかと
今度は自分に置き換えて考えていくのです。

作者の人となりを理解しようと努めることは
自分自身を読み解くことにもつながります。

本好きさんは、本が好きだという自分の長所を生かして、
多層的に、本にある人・社会・世界を読み解くことにぜひ挑んでください。

ものの見方を広げるのは、
一人では難しいかもしれませんね。
写真集などは大人と一緒に見て、
私たちとの違いを口にしあってみてください。
「かわいそう」「きれいね」の感想から始まればいいですが、
感想では「読解」にはならないので、
なぜ道はそのようにできていて、どんな便利と不便があって、
その町の歴史がどんなところに刻まれているかと
画像から読み取れる「文字になっていないこと」を拾い上げるといいと思います。

 

読書は、世界との出会いですよ。
「しなければならないこと」ではないのです。


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