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言葉を促す [子どもの言葉を変える魔法]

昨日、子どもが言葉を出しあぐねているときに
幾つか例を出してみる、ということを書いた。
この場合には、この子はたぶんこう感じているだろうな、という言葉は言わず、
わざとはずして言うことにしている。

似ているけどちょっと違うもの、
かなり外れているもの、
ついでに「はあ?そんなわけないでしょ」という馬鹿げたものも言う。
周囲も本人も笑って「それはないでしょ」と声をあげたくなるくらい馬鹿げているもの。
そういうアホなことを言うのが私は結構好きだ。
ブログでは真面目路線だけれども
講義では馬鹿になりきる。
もともと馬鹿の部分を持っているから、簡単だ。
フリなんかしなくてもそのままで行ける。

それはさておき、ともかくいくつか例を挙げ、
「てなかんじでね、いろいろ思いつくんだけど
あなたはどう感じているのかなぁって。
私の感じ方とあなたの感じ方は同じとは限らないよね。
似てても、ちょっと違うかもしれないよね。
きっとまるきり同じではないだろうから、
あなたの感じてることを言葉にしてくれるといいなぁと思うの。
だって違う人なんだもの、
違うふうに感じるかもしれないから、それを知りたいんだ」
と言う。

すると、子どもは、
勇気を出して何かを言ってくれる。(おバカなことで笑った後だから割と楽)
私が言ったものとまるきり同じ場合もあるし、
ちょっと違う時もある。
全然違うことを言ってくれる時もある。
私はその言葉をとても嬉しく聞く。
「ああ、そうなんだ、そう思ってるんだね」と
その子の言ってくれたことを繰り返して言う。

少し外して言ったり、
予測とは全然違うことを言ったりするのは、
「ちょっと違う」という気持ちを喚起するため。
違う、だから違うと言いたい。
相手に違うと伝えてみたい。
そういう気持ちを少し持ってもらうためだ。

相手に何かを伝えてみたい。
その気持ちがなければ言葉や表現なんて始まらない。

子どもの言葉の力を強くしたいと思うなら、
「わかりすぎない」ことが一つのポイントだ。
子どもが何も言わないうちに、
先回りしたり察してあげたり
代弁してあげたりするのは、
子どもが言葉を発していく力を育てない。
わかりすぎなくていい。
わかっていても、知らないふりをしてもいい。
何か言ってくれたら、
「知ってたよ」と言うより、
「へええ、そうか、わかった、言ってくれてありがとう」
と返したほうがいい。

だから、私は結構待つ。
ずっと待ち続けていると、本人にとってプレッシャーになる場合は、
他の人にふりつつ、やはりまだ待つ。
その子が言うであろう言葉の種類はなんとなく想像しつつも、
こちらで答えは用意しない。
それに実際、子どもの口から出てくる声の響きに、はっとすることが多い。
新鮮なその声を受け止めつつ、
わずかなその言葉を
これ以上ないくらいに大切に吟味して
その人が言わなかったことにまで想像を巡らして、
「もっと知りたいよ」と続きを促す。

言葉は、わかりあえすぎている関係の中では育たない。
ちょっとした違いを持っている人たちの中で
育っていくものだ。
だから、他者と出会うっていうのは、欠かせないことなんだろうと思う。


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