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2017年1月の課題 [光る一文]

2017年の初めの月もあっという間に終わり・・・、
ではありますが、このひと月の間に、いろいろと決断をしました。
昨年からずっと悶々としていたのですが、
決めたらようやくすっきりできました。
動き出したことを止めないよう、
小さな恐怖に負けないよう、
足を前に運んでいこうと思います。
といいつつ、まだはっきりしていないことも多いので、
お伝えできるようになったら、このブログでも
私の決断について、お知らせしようと思います。

さて、1月の課題。
本科では、生活文と描写を中心に行いました。
最初の週は、冬休みの出来事をドラマ仕立てで書く課題。
2週目は、描写のレッスン。
ちょうどこの頃、雪が降りましたので、
雪や「寒さ」「冷たさ」の描写を行いました。

1週目のドラマ仕立ての課題では、「楽しかった」「面白かった」を安易に使わないように、
実際の出来事を三人称で書く、というようにしました。
ですから、自分のことも、例えば書き手が祐樹君なら「祐樹は急に立ち上がった」と書き、
お母さん、お父さんのことも名前で(「篤がぱっと身を引く」とか)書きます。
誰か別の人間が、自分たちのしていることを見て書いているふうですね。
三人称で書くのですから、自分の気持ちを表すのにも
「~と思った」とは書けません。話者は自分ではありませんから。
ということで、気持ちは、「目を細めた」とか「大きく息を吐いた」とか
表情や仕草で表すように!と伝えました。

この課題、意外に難しくて、
書くことに一生懸命になってくると、名前で書くことを忘れてしまって、
「ぼく」とか「わたし」とかになってしまいます。
動きも主観的な言葉で表すものが増えます。
慣れた子でも、ついそうなってしまうのです。
「ぼく・わたし」を主語におくことが、あまりにも当たり前になっているので、
そうでない書き方、となると難しくなるようです。
(だから、やるのですが!)


その中で、小4から中2の今まで、ずっと来てくれている人の作品が、
すごく完成度の高いものになっていて驚きました。
あれこれと手当たり次第に、いろんなジャンルの本を読んでいるのでしょうか、
ずいぶんと文の作り方がしっかりしてきて、
しかもその中に、わざと置かれた対の表現や隠喩的表現があるのがわかって、
いやはや、いつの間にこの人は
こういう遊びができるようになったのだろう? と舌を巻きました。

おもしろかったので、本人に許可をもらって原文のまま、このブログに載せます。
当然ですが、無断転載や引用はお控えくださいね。

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『海の時間』
中2男子 R

白いつめと、ピンクの肉の間が赤い。その赤の中には、白や茶色や色々な色の小さな砂がはさまっている。砂浜で、手で穴をほったからだ。晴れでもないのに、水も冷たいのに、どうして穴をほったのか、自分でも分からない。いつも、海に来ると、上着をぬいで、ズボンのすそをまくって、ただ、穴をほるのである。遠くの人から見ると、おかしな人に見えるだろう。兄と妹はそれぞれ穴をほっていて、母は、海岸のはしで何をしているのかも分からない。潮が満ちてきたら、自分のほった穴が波によって、どんどんうめられていくのをただながめる。一波ごとに、どんどん穴がなだらかになって行く。そして、穴がなくなる。それをながめる。どっちが最後までのこったかと、二人で言い合う。雲が流れていく。青空が見えたりかくれたり。漁船が行ったり来たり。
母が二人を呼びに来る。三人で、海岸のはしからはしまで歩く。同じくらいの大きさの足あとが三列、続いていく。
海岸のはしには、潮だまりがある。大きいのは、直径が一メートルくらいあるが、小さいのは、岩の上にあって、直径5センチくらい。その、小さな潮だまりの中に、1つずつイソギンチャクがある。まわりには、アオサが一面生えていて、カニやヤドカリもいた。小さな潮だまりの中はまるで指のつめの間に入った砂のように、色とりどりのものがいっぱい入っていた。空が、色づいてくる。カラスが鳴いている。


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うーん。びっくりするな。私には書けない。
以前から、この手の課題には光るものを見せてくれていた人でしたが、
独特な世界を創り出す力をつけてきたようです。
別のをまた書いてくれるかしら。
・・・書いて欲しいなあ。楽しみでならない。





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