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読みやすい文章にするための「直し」③ [作文の読み方・返し方]

3)一文の途中で見られるもの

・一文が長い

①「~して、~すると、~していたら、~しながら、・・・」と続く
②一文の中に、修飾語が3つ以上入っている(「ぼくは、大きくて赤い、1㎝くらいの傷がついている甘い匂いのするリンゴを手で持って、台所に走って入った」のようなもの)

「して」と「ながら」は特に多い例です。
①の場合は、読み手は黙読していても、「。」で呼吸することを伝えます。
一文が長いと、息が続かなくなって読みたくなくなる(意味をとらえにくくなる)こと、
主語と述語がかみあわなくなりやすいこと、
情報が多すぎて、どれが最も大事なのかわからなくなること、
などのデメリットを伝え、「。」で切るよう促します。
実際に、長い一文を音読し、「どこで切るか」を一緒に考えます。

②の場合は、とにかく「様子を伝えよう」と頑張った結果、起きることです。
様子を伝えようとする意欲をまず認め、その上で、
修飾語が多すぎると、ごちゃごちゃして意味がわかりにくくなること、
並べて書くと、どの情報も重要度が下がってしまうこと
を伝えます。

例文なら、
「ぼくは大きな赤いリンゴを手に取った。リンゴには傷がついている。1㎝くらいの細い傷だ。リンゴからは甘い匂いがする。ぼくはそれを持ったまま、台所に走っていった。」
のように、数文に分けて書くことを実際に一緒にやってみます。
いくつもの情報を入れたいときは、文を分けて書くことを意識してもらいます。


・話し言葉の使用(物語や詩の場合は、そのまま残すこともあります)

①「~したり」の1回使用→「~したり、~したり」と2回繰り返して用いる
②「でも」「だけど」「けど」→「しかし」「だが」の書き言葉に直す

この2例は、ほとんどの人がやってしまうことです。


・「いろいろ」「あちこち」などのぼかした言葉の多用

「いろいろ」「あちこち」では、モノや場所が見えないので、「あちこち」とはどこか、具体的に固有名詞で示すよう促します。「棚の上とか柱のそばとか」などとする方が、読み手は場を映像化しやすくなります。
同じように、「体」「足」など、広い範囲を示す言葉も、「ひざ」「くるぶし」「わきばら」などの、場所をもう少しはっきりさせた言葉にすると想像しやすいので、やってみるよう伝えます。


以上、子どもの作文によく見られるものを挙げてみました。
しかし、これらを完璧に正して書けば「よい作文」「素晴らしい作文」になるかというと、そうではありません。
結局のところ、「何をどう描き出そうとしたか」という、中身が優れているかどうかで、文章の価値は決まります。

ですから、「間違わないで書く」ことを優先する時間と、
「間違ってもいいから、中身を充実させることを優先する」時間と、
別々に設けた方が、子どもたちにはいいように思います。
研究室の講座は、後者がメインです。
前者の方が、子どもたちにとっては機会が多いと思うので、
「中身をよくする機会」を、もっと楽しんでほしいと思って講座を開いています。

ああ、それと、
「直し」をさせるとき、決して間違いを責めないでくださいね。

私が「そしてそして病」などと言うのは、悪いのは「そして」がたくさん出てきてしまうことであって、本人が悪いのではない、といった雰囲気を作りたいからです。
直すのはしんどいことです。
誰にとってもしんどいはずの、直すこと、間違いを指摘されることを、子ども自身が受け入れられなければ、働きかけの意味はなくなってしまいます。

子どもが自ら取り組めるような「アドバイスの仕方」をするということ、
この点が、たぶんまあ、ご家庭でやるより、私の場でやったほうがよい理由です。
「お母さん」にはぜんぶ受け入れてほしいというのが、お子さんの根本にありますからね。
「他人」の宇野が言うから、直しもやれるのです。
「しかたないな、他人だもん」って思ってくれるのです。みんな、やさしいなぁ。

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