SSブログ

書き手が楽しむお話 [課題―創作文]

さて、今週は、お楽しみ課題。
短いお話を書きました。
夏休みの物語制作は、場面描写や心情描写に気を配ってもらいましたが、今回は発想や展開を楽しむためのものです。


まずは皆で言葉を出します。
物語の核となるのは「人」「物」「場所」の3つ。
この3つを表す言葉を出していきます。

例えば、「イス」と誰かが言ったなら、「どんなイス?」とたずねてみます。
大きさ、色、におい、音、手触りなど、イスを形容する言葉をつけてもらいます。
今回は、ここで少しいたずら心を加えてみました。 現実にはなさそうなイスを想像してもらったのです。
当たり前のものはやめておいて、何かちょっとイロがつくもの。 イスの機能が果たせなくなるようなもの。
これは?あれなら? どんどんアイデアを出してもらって、面白いものを採用しました。

今回の場合は「くっついてはなれないガムのイス」となりました。
その他、「触ると毛が生えてくるタワシ」「生ごみくさい歯ブラシ」「中に入れると恐ろしい夢を見る呪われたゴミ箱」などが出てきました。
なんだか怪しげなものばかりですが、きれいなものもあります。 
「蝶の羽でできたカーテン」「空までいけるブランコ」だとか・・・。

同様に、場所の言葉も出しました。 
「3人しか入れない教室」「ユーレイが医者の病院」「おばけばかり売っているデパート」などなど。
人を表すのは、性格・容姿・習慣などの言葉。おこりっぽい、細長い女の人、口がくさいなどですね。こればかりはあんまり変にはしませんでした。

3種類の言葉を小さな紙に書いたら、くじ引きのように紙をひきます。そして、出た3種類の言葉をぜったいに入れて、お話をつくるというのが今回の課題です。

自分が引いた紙に書かれた言葉を見て、みんな「ええ~~っ」やら「ぎょおぇええっ」やら、それはもう、うるさいことこの上ない喜びの声を挙げていますが、それぞれに攻略の道筋を見つけたなら、没入して書き始めます。奇妙な「物」が、ストーリーをひっぱってくれるのでしょう、思いついたドタバタ劇にくっくっと笑って書いている人が多くいました。

 

この課題の良いところは、ごく普通に書いたなら絶対に取り入れることのない展開や描写をしやすくなるところです。
なんの制約もなしに書くときは「自分が書けるもの」「自分の好み」に従って書きます。そうなると逸脱が少なくなります。
それが、このように強烈な個性を持った「物」を入れなくてはならないとなると、予定調和がくずれます。自分の守備範囲を超えたものも取り入れねばなりません。自分の手の内にないものを、どうやって話に組み込んでいこうかとあれこれ考えるうちに、いつもなら思いつかない展開や描写がぽんっと出てきます。その意外性を書き手本人も楽しんでもらえればと思いました。

 

書くことは、読み手を楽しませるために行うこと。しかし、作文は苦行ではありません。書き手も楽しんでこその作文です。
書き終わって「あぁ楽しかった、思う存分書いた」と体いっぱいで満足感を得てほしい。そんな基本の願いに返って、今回はこの課題を用意しました。

どの人も今週はすがすがしい顔で帰っていきました。中には、書き上げるまでは帰らない、と粘った人も。
この楽しい世界を「終わり」まで書き上げたい、という熱意に突き動かされているようでした。


nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

nice! 0

コメント 2

UI

こんばんは、今回はこちらから失礼します。
毎回、いろいろなアイデアで子供たちに文章を書かせる手腕にはいつも感心しいます。
ところで、前回から文体が変わりましたが、こちらの方が肩の力が抜けてのびのびしているような感じがします。
勝手な想像ですが、ご自身のパーソナリティに近いような。

奈良での体験。僕も数十年前ですが、同じような体験をしました。
チャリに乗った中学生が次々と遺跡の側を通り過ぎていくのを見て、
気負って遺跡見物に来た自分が少し滑稽で、
肩すかしをくらった気分になりました。
京都ほど観光地化されず、地元の生活にとけ込んでいる感じが良いですよね。


by UI (2008-11-17 19:59) 

uno-tea

>UIさん、コメントありがとうございます。

文体のこと、確かにそうなんです。
ブログはどなたが読んでくださるかわからない文章ですから、敬体の方が楽ですね。
ただ、私は敬体を用いるとだらだら長くなりやすいので、それを引き締めるために常体を用いていました。

しばらくは敬体を楽しんで、ぴりっとした文章を書きたいときに常体を使ってみようと思っています。
ブログを書くのも、楽しんでこそ、ですものね。


by uno-tea (2008-11-22 14:20) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

秋休み言葉を受け取る ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。