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2018年夏期講座 本制作コースのご報告② [課題―創作文]


物語の本文を書く際も、
ストーリー作りのときに働きかけたことを何度も伝えます。

本当に、こんなふうにしゃべる?
こんなにすぐに「やった!」って言う?
「え? それ、なに?」と驚かずに、すぐ受け入れられる?

子どもたちはそれなりに、
「お約束の展開」を知っています。
アニメや漫画でよく目にする展開です。
このところのアニメは、
喜怒哀楽の表現や友達とのやり取りがワンパターン化していて、
わかりやすくはあるものの、
「本物らしさ」には欠けます。
(といっても、じっくり子ども向けのアニメを見ることはなくなったので
まあ、そういう印象がある、ということですが)
その、パターン化された表現を踏襲して物語を書くと、
人の心の機微は描けません。

ですから、
「君なら? 親友とけんかして、いつくらいから後悔し始める?
別れた直後から? それとも、家に戻って一人になってから?
後悔し始めたら、どのくらい悩む?
すぐに『やっぱり謝ろう」と決める人もいるよね。
決めたらもうぐだぐだ悩まない人もいるし、
ぐにゃぐにゃいつまでも考えていて、
『ああ言わなきゃよかった、なんであんなことしたんだろう』って
頭の中、ぐるぐるさせちゃう人もいる。
なかなか謝れない人も。
この主人公の場合はどうだろう? 
この子の性格から、どんなかんじになるのか、考えてね」
このようなことを言います。
それで、その人の行動を思い描いてから、書き直してもらいます。

今回、とても難しいと感じたのは、
「間あい」を作ること、でした。
大切なシーンは、起きたことを分解して、
一つひとつの変化を、丁寧に見せてもらいたい。
間を、十分にとってもらいたい。
そうしないと、読み手の心にそのシーンが浮かびませんし、
印象に残る名場面とはなりません。

しかし、ほとんどの子が、
「見せ場」が、やたらと短いのです!!
あっという間に終わってしまいます。3行です!
3行で仲直りしたり、一番大事なことに気づいたり、
大きな挑戦が終わったりします。
「先に進める」ことだけを考えてしまうからですね。
でも、それでは読み手が物語を楽しめません。
それで、何度か書き直しをしてもらった人もいました。

書き出しの部分も同様。
「舞台を作る」「物語のリズムを作る」「読み手を引き込む」ためにも
最初の1ページはとても重要ですが、
みんな、展開がとても早い!!
あらすじを書くんじゃなくて、場面を描くんだ、ということ、
具体的に伝えてはあるのですが、
いざ書くとなると・・・、勝手がわからないのでしょうね。
1枚目は多くの子に書き直してもらいました。
もちろん「どうするとよいか」を具体的に話し合ってから、です。
それではずみがついて、うまく描けていく子がほとんどでした。

読み手に「あるもの・こと」を印象づけるためには、
一言書くだけでは足りないということ、
皆になんども伝えました。
「倒れた」なら、
どこから、どんなふうに倒れて、周りの子はどう反応したのか、
数文に分けて伝えねば、読み手には「見え」ません。
勢いや壊れ方や叫び声や走り方や、
そういった「場面」を、書き手本人が「見ずに」文章を書いているから、
読み手にも「見えない」。
今回は、書き手がしっかりと「場面を映像として見る」ことを何度も求めました。
場面を描く、という体験をあまりしていないのでしょうか。
いきさつは書けても、
場面は描けない。
実は単科でもこのことは私にとっての課題でした。
「見る」力を伸ばすこと。
そうでなければ、表現が変わらない、と感じています。
手を変え品を変え、働きかけているのですが、
まだまだ足りない感じがしています。
引き続きの課題となりそうです。

さて、本文を書く際のねらいとして、
自分の「文章の癖」を知ってもらう、というものもあります。
普段の授業では、「間違い直し」をしないので、
「本にする」というのは、「直し」の絶好の機会です。
本として残るものに誤字脱字がたーーーくさんあるのは、
本人も、嫌でしょうからね。
この時ばかりは、遠慮なく、間違いを指摘し、直してもらいます。
小中学生の記述の癖のご紹介・・・なんて、知りたいですか?
うーん、よし、気が向いたら書こう。
・・・じゃ、だめですかね。

とにかく、ストーリーを作るのにも、
本文を書き進めていくのにも、
それぞれに難しさがあって、みなには力をふりしぼって臨んでもらったと思います。
仕上がった作品は、どれも
「この世界にただ一つ」のものになりました。
似ている話は一つもありません。
どこかで読んだことあるな、というものもありません。
それぞれが、今の精いっぱいの言葉で、
一つの世界を描き出してくれました。

どれも、私の心に長く残るお話になりそうです。
ご参加いただき、本当に、ありがとうございました。


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